ブラジル代表であり、プレミアリーグ・ニューカッスル・ユナイテッドの中心選手として活躍するブルーノ・ギマランイス。
冷静なボールさばきと戦術眼でチームを支える彼は、ピッチの上では知将として知られる一方で、プライベートでは温かく誠実な人物としても多くの人に愛されています。
父のタクシー番号から取った「39番」に込めた家族への想い、逆境を恐れない挑戦心、ファンや街への深い献身、そして家庭を大切にする優しさ――。
この記事では、ブルーノ・ギマランイスという人間の“性格”を映し出す6つのエピソードを通して、その素顔に迫ります。
この記事の内容
ブルーノ・ギマランイスの性格──6つのエピソードで読み解く
「39番」に込めた原点意識と家族愛 — タクシー番号から象徴へ
Bruno Guimarães went to the Brasileirão awards last night in his father’s taxi, which supported their family for years. He also wears number 39 on the pitch in honour of his father and his taxi. pic.twitter.com/s9Z0ctW1C4
— Brasil Football 🇧🇷 (@BrasilEdition) December 10, 2019
ブルーノ・ギマランイスにとって、背番号39は単なるユニフォームの番号以上の意味を持つ。
「原点」「家族愛」「感謝」そのすべてを象徴する記号だ。本人は、次のように語っている。
“039 era o número do táxi do meu pai no Rio de Janeiro. Para mim, 39 é especial — não, é mais do que isso. É mágico. O número 39 me deu tudo na vida.” The Players’ Tribune
つまり、「039(ゼロ・サンタ・ヌーヴェ)」は、リオの街で父が運転していた黄色いタクシーの番号だった。
父は昼も夜も、タクシーを走らせながら、家族を支えるために働いていた。ブルーノはこう説明している:
「父はあのタクシーを昼夜問わず運転して、僕が食べられるようにしてくれた」 Instagram+2The Players’ Tribune+2
この背景を知ると、「39」という数字を胸に刻む意味が深くなる。
彼にとっては、自分がここに立てている理由を毎試合、自覚させてくれる記号なのだ。
39がもたらしたシンクロニシティと象徴性
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番号の選定が偶然を超えた瞬間
あるクラブへの移籍の際、彼が新しい背番号を決めようとしていたとき、クラブ側から持たされたユニフォームに「39」がすでに用意されていたという話がある。 -
ブルーノは驚きながらも、すぐにそれを受け入れ、「これは運命かもしれない」と感じたと伝えられている。
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タクシー番号として長年使われた 039
現地グローボ紙の報道によれば、父親は 21年近く タクシーを運転しており、そのタクシーにはずっと「039」という番号が付けられていた。 -
つまり、それは日常の風景に根づいた“番号”だったのだ。
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象徴としての励み・誓い
ブルーノは自らを鼓舞するとき、「39 は僕にすべてを与えてくれた」と語る。 -
ユニフォーム番号としてそれを掲げることは、家族の犠牲と支えを決して忘れないという誓いを自らに課すことでもある。
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ファンとの結びつき
ニューカッスル移籍後、ファンが「39」を象徴するチャントを歌ったり、Tシャツに印刷したりする光景が見られる。 -
ファンと選手をつなぐ“番号の物語”が、彼を象徴するアイコンの一部になっている。 (記事・ファン投稿で言及されている)
逆境を燃料に変える”前向きな胆力
ブルーノは、人生の転機であるニューカッスル移籍の際、周囲の懐疑的な声を逆手に取った。
2022年、クラブが降格圏に沈んでいた時期、彼は敢えてそのクラブを選び、こう語っている。
「挑戦したかった。プレッシャーがある場所のほうが、自分の価値を証明できる。」
“I wanted a challenge. Pressure makes me stronger.”
(GQブラジル、2023年インタビューより)
移籍当初、英メディアからは「なぜ彼がニューカッスルを選ぶのか?」と首をかしげる声もあった。
だが、わずか数か月でファンの信頼を獲得し、チームの心臓として君臨。
GQ誌は「彼は批判をモチベーションに変える稀有な選手」と評している。
つまり彼は、不安や重圧を「前進の燃料」に変えるメンタリティを持つタイプ。
冷静沈着に見えて、内面では強烈な闘志が燃えている――そのギャップが、ブルーノらしさだ。
街を幸せにする”という使命感と献身
ブルーノはしばしば「ニューカッスルの心臓」と呼ばれる。
その理由はプレーだけでなく、彼の人間性と街への献身にある。
地元メディア Chronicle Live に掲載されたインタビューでは、彼がこう語っている。
“I’m not playing for myself — I’m playing for the Geordies.”
「自分のためじゃない。ジョーディ(ニューカッスルの人々)のために戦っている。」
練習後にファンへサインをし、寒空の中でも笑顔で対応。
彼の息子マテオを抱いたままピッチを歩く姿は、街の象徴的な光景となった。
SNSでは、ファンから「彼は選手というより家族の一員だ」と評されるほど。
この“献身”は、単なるパフォーマンスではない。
幼少期に、父が人々を乗せて走るタクシーを見て育ったブルーノにとって、「人のために働く」ことが、ごく自然な生き方なのだ。
家庭を大切にする“優しさと信仰心
引用:ge.globo
ブルーノのインスタグラムを覗くと、華やかなトロフィー写真よりも、家族と過ごす穏やかな瞬間の投稿が圧倒的に多い。
「不完全で、騒がしいけれども、これほど幸せな家族はない。神様、ありがとう。」
— アナ・リディア夫人の投稿より(2024年)
宗教心が厚く、結婚式もリオの「コルコバードのキリスト像」で挙げた。
夜明けの光に包まれたセレモニーは、神への感謝と家族愛の象徴。
そこにいたのは、サッカー選手ではなく、一人の人間としてのブルーノだった。
また、息子マテオの洗礼式ではこう語っている。
「神と共に歩み、善き道を進みますように。」
信仰と愛、そして家族。
それがブルーノの人生を支える「三本柱」である。
父親としての責任感”と柔らかな心
引用:YouTube
ブルーノは、第一子マテオの誕生を迎えたとき、SNSでこう投稿した。
“Filho, estamos contando os segundos para te ter em nossos braços.”
「息子よ、君を抱ける日を秒読みしている。」
さらに第二子ピエトロ誕生時には、
“Pietro, meu amor, você foi desejado desde o primeiro dia.”
「ピエトロ、私の愛しい子。君は最初の日から待ち望まれていた。」
プロ選手である前に、彼は“父”であり“夫”であることを大切にする。
夜泣きする息子をあやす姿を妻アナが投稿したこともあり、ファンの間では「理想のパパ」として知られる。
彼はGQインタビューで次のように述べている。
“Being a father made me a better person.”
「父親になって、自分はより良い人間になれた。」
試合中の冷静さや判断力の源には、家庭で育まれる穏やかさがあるのだ。
誠実さと学び続ける姿勢”──謙虚なプロ意識
ブルーノは若い頃から、「どこにいても真面目に働く」ことを信条としてきた。
ブラジルの育成年代時代、監督に「才能だけで成功すると思うな」と叱られた経験を、
今も忘れずに胸に刻んでいる。
彼のトレーニングは非常に真面目で、練習後も自ら追加トレーニングを申し出るほどのストイックさを持つ。
ニューカッスルのチームメイト、ジョエリントンは語る。
「ブルーノは誰よりも早く練習に来て、最後まで残る。
それでも、いつも笑顔でいるんだ。」
謙虚でありながら、努力を怠らない。
そして、どんな状況でも“感謝を忘れない”。
それが、ブルーノ・ギマランイスという人間を形づくっている。
さいごに
ブルーノ・ギマランイスの性格は、一言でいえば、「努力と感謝で築かれた人間力」に尽きます。
父の背中から学んだ謙虚さ、逆境に立ち向かう勇気、街と家族への深い愛情、そして信仰と誠実さ。
それらが交わることで、ピッチ上での冷静さとリーダーシップが生まれています。
どんなに成功しても「原点」を忘れず、周囲への思いやりを持ち続ける――。
そんな彼の生き方は、サッカー選手としてだけでなく、一人の人間としての“強さ”と“優しさ”を体現しています。
これからもブルーノ・ギマランイスは、背番号39に刻まれた信念とともに、世界中のファンの心を動かし続けるでしょう。