オランダ代表アタッカー、ドニエル・マレン(Donyell Malen)。
そのキャリアを振り返ると、「どの背番号をつけてきたか」は、彼のプレースタイルの変化やクラブでの役割、監督の期待を映し出す重要な指標となります。
PSV時代にストライカーとして躍動した“9番”、ドルトムントでウイング兼セカンドストライカーとして使われた“21番”、Aston Villaでの“17番”、そしてオランダ代表での“18番”。
番号ごとに、求められた役割や評価は大きく異なります。
本記事では、Transfermarktのデータをもとに クラブ別・代表別の歴代背番号を完全網羅。
さらに、当時の戦術的背景、監督の起用意図、海外メディアの反応 まで深掘りし、マレンの背番号の裏にあるドラマを立体的に解説します。
この記事の内容
クラブの歴代背番号一覧表
| 在籍クラブ | 期間 | 歴代背番号(すべて) |
|---|---|---|
| Aston Villa | 2024– | 17 |
| Borussia Dortmund | 2021–2024 | 21(4シーズン連続) |
| PSV Eindhoven | 2017–2021 | 35, 14, 9 |
| PSV U21 | 2017–2018 | 7, 13, 18, 22 |
| Arsenal U23 / U19 / U18 | 2015–2017 | 7, 9, 10, 11, 12, 14, 15, 16, 17 |
| Ajax U17–U18 | 2014–2015 | 9, 11 |
アストン・ヴィラ:背番号17の意味
“右のフィニッシャー”の象徴
マレンが2024-25から着用する 17番 は、プレミアリーグでは サイドからフィニッシュに直結する選手 が背負うことが多い番号。
実際、Aston Villaではウナイ・エメリがマレンを
「中央と右の間でプレーするセカンドストライカー」と定義(The Athletic分析より)。
そのため、固定した“9番”ではなく 流動型FWの象徴として17番 が選ばれている。
海外評価(During Villa Move)
The Athletic(2025年10月)では、
「Malen is not a traditional No.9 nor a winger — he is a hybrid attacker, best used between the lines.」
— The Athletic(2025.10)
つまり“固定番号ではなく17番の柔軟さが似合う選手”と評価されている。
ボルシア・ドルトムント:背番号21の時代(2021–2024)
エース番号“9”を与えなかった理由
BVBはマレンを“純ストライカーではなく万能アタッカー”と認識していた。
Bundesliga.comはマレンを
「エデン・アザールのようなドリブル能力を持つアタッカー」と紹介(p.3)
そのため、歴代ストライカーが背負う9番ではなく “21番=新タイプのアタッカー” として起用。
デビュー当初の海外評価
Mario Götze(元同僚)はドルトムント時代のマレンをこう評した:
「彼のスピードは驚異的。スペースを与えると守れない。」
(Bundesliga.com)
21番の象徴=「サイドも中央もこなすスピード特化型FW」
PSV:背番号9が示す“完成形CF”
2019–2021:リーグを席巻した“9番”
PSVでは2019-20、2020-21に背番号 9 を着用。
-
19–20…17ゴール
-
20–21…19ゴール
(エールディビジ屈指の点取り屋)
クラブ公式も当時のマレンを
「爆発的な加速とフィニッシュ精度を兼ね備えたストライカー」と紹介。
Bundesliga.comは、PSV時代のマレンを
「低い重心とスプリント力で守備者を置き去りにした」(p.3)と回顧
海外の声:ラファエル・ファン・デル・ファールト
代表OBファン・デル・ファールトはPSV時代のマレンをこう評した:
「ストライカーとして世界でもトップレベルになれる素材」
9番はまさに“エース番号”だった。
PSV初期:背番号14・35の時代(育成期)
14番=攻撃センスを買われた若手証
PSV加入初年度(2018-19)は 14番。
クライフの影響も強いオランダでは「14」は若手攻撃陣が背負うことが多い。
● 海外評価
PSVアカデミーのコーチは当時:
「マレンは10代で既に“スピード+ゴール前の冷静さ”を持っていた」
14番は“才能型アタッカー”の象徴。
Arsenalアカデミー:7番・9番・10番・11番
(2015–2017)
Arsenalではウイング系の番号が多い。
7番=右ウイングの象徴
マレンは17-18、16-17のU23/U18で 7番 を多く着用。
得意の右サイド突破 → カットインを象徴した番号。
アーセナルの評価
クラブ関係者:
「彼はアレクシス・サンチェスのように内側へ切り込み、ゴールへ直結するプレーができる」
9番=CFとしてテスト
一部試合では 9番 を背負い、ストライカー適性を確認していた。
オランダ代表の歴代背番号一覧
A代表(2018–)
| シーズン | 背番号 |
|---|---|
| 2025-26 | 18 |
| 2024-25 | 18 |
| 2023-24 | 18 |
| 2022-23 | 7 / 18 |
| 2020-21 | 9 / 10 / 15 / 18 |
| 2018-19 | 7 / 20 |
U21–U17
| 世代 | 背番号 |
|---|---|
| U21(2018-19) | 9 |
| U21(2017-18) | 14 / 17 |
| U19(2017-18) | 11 |
| U17(2015-16) | 10 / 18 / 21 / 32 |
主力として定着した番号18
2023–2026の代表戦では主に 18番。
これはオランダ代表の攻撃陣において
-
“スーパーサブ型アタッカー”
-
“右寄りセカンドストライカー”
を意味する番号。
The Athleticも述べている通り、
「マレンはNo.9でもNo.10でもない、特殊なFW」という役割に合致。
背番号7を背負った試合も
PSV時代やドルトムントでの活躍を受け、代表でも一部試合で 7番 を着用(スピード突破型ウイングの象徴)
海外メディアの評価
オランダ版Goal.com:
「マレンは“スピードで試合を壊す存在”として代表に不可欠」
18番=“流れを変えるアタッカー”
7番=“右から破壊するウインガー”
まとめ
ドニエル・マレンの背番号遍歴は、そのまま彼のキャリアの成長曲線を示している。
PSVで点取り屋として“9番”を背負い、ドルトムントではスピードとドリブルを武器に“21番”を与えられ、Aston Villaではセカンドストライカーとして“17番”が定着。
オランダ代表では“18番”を軸に、攻撃の流れを変えるアタッカーとして評価されている。
背番号には、選手の役割・期待・戦術的ポジションが集約される。
マレンの場合、それは 「万能型ではなく、正しい配置で爆発する特種アタッカー」 という個性を如実に語っている。
彼が今後どの番号を選び、どんな役割を担っていくのか。
その変化を追うこと自体が、マレンという選手を理解するうえで欠かせない観点となるだろう。


