アーセナルの守備を支える鉄壁のセンターバック、ガブリエウ・マガリャンイス。
ブラジル代表でも評価を高める彼は、左足の展開力、対人守備の強さ、そして高さを活かした得点力まで兼ね備えた、現代的なディフェンダーです。
加入当初は粗さが指摘されたものの、サリバとのコンビを築き上げた今ではプレミア屈指のCBとして揺るぎない地位を確立。
本記事では、彼のプレースタイルを特徴ごとに分解し、海外メディアの評価も交えて徹底解説します。
さらに、クラブと代表で異なるポジションでの役割を深掘りし、ガブリエウがなぜ“欠かせない守備者”なのかを明らかにしていきます。
この記事の内容
ガブリエウ・マガリャンイスのプレースタイルを徹底分析
ビルドアップ能力と展開力
ガブリエウの最大の特徴は、左足からの正確なパス能力である。
彼がアーセナルに加入した2020年以降、チームは左サイドからのビルドアップが大幅に改善された。
90分あたりの平均パス本数は60〜65本、成功率は84〜86%に達する。
特に対プレス回避の縦パスとサイドチェンジのロングボールは、アルテタ戦術における攻撃の第一歩だ。
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具体例:2023年9月のトッテナム戦では、相手が高い位置からプレッシングを仕掛ける中、ガブリエウが自陣深くから正確にマルティネッリへロングフィードを通し、一気に数的優位を作り出した。
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海外評価:英『The Athletic』は「サリバが守備に集中できるのは、ガブリエウが後方から展開を担うからだ」と報じている。
対人守備の強さとフィジカル
身長190cm、体重87kgという屈強な体格を誇り、プレミアリーグでも屈指の1対1守備能力を持つ。
2022/23シーズンのデータでは、空中戦勝率が約74%、地上戦デュエル成功率が70%以上と、欧州でもトップクラスの数字を残している。
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具体例:2023年1月のマンチェスター・ユナイテッド戦では、ラッシュフォードの突破に対し、身体をぶつけて進路を完全に遮断。フィジカル勝負でも一歩も引かない姿勢が際立った。
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海外評価:『Sky Sports』は「ガブリエウはプレミアのパワフルなストライカーに立ち向かえる数少ないCB」と絶賛した。
スピードとリカバリー能力
大柄なCBは裏抜けへの対応が課題になりがちだが、ガブリエウは驚くべきスピードで補っている。
アーセナルが高いラインを維持できるのは、彼のリカバリー力に支えられているからだ。
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具体例:2023年4月のマンチェスター・シティ戦で、ハーランドが裏へ抜け出す場面があったが、ガブリエウが全力で追走し、体を入れて決定機を未然に防いだ。
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海外評価:『BBC』は「体格に似合わぬスプリント力でカバーする、現代型CBの典型」と評価。
カバーリングと戦術理解度
サリバが前方へ出てアグレッシブに守備を行う一方で、ガブリエウは後方のスペースを冷静にカバーし、ライン全体の安定を保っている。
守備時には相手のパスコースを切り、攻撃時には的確なポジショニングで二次攻撃を防ぐ。
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具体例:2024年2月のチェルシー戦では、右サイドからのクロスを相手FWに合わされる直前にクリア。
これは単なる反射的対応ではなく、数秒前からポジショニングを調整していた証拠だった。
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海外評価:『ESPN Brasil』は「派手さはないが、ガブリエウが後方でバランスを取るからこそ、アーセナルの守備は機能する」と報じている。
攻撃参加と得点力
移籍後わずか数年でプレミアリーグにおけるDF得点数トップに立った。
コーナーやFKでの得点力は、アーセナルにとって貴重なオプションである。
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具体例:2022/23シーズン、フルアム戦ではCKから鋭い動き出しでマークを外し、試合を決定づけるゴールを記録。
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海外評価:『Mirror』は「彼は守備者であると同時に、セットプレーでの隠れたストライカー」と表現。
メンタリティとリーダーシップ
加入当初はミスも目立ち、批判を浴びたが、経験を重ねるごとに精神的に成熟。
いまでは守備ラインを統率する役割を担い、チームメイトを鼓舞する姿が目立つ。
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具体例:2023年末のリヴァプール戦で、自らのクリアがミスにつながった直後に声を張り上げ、チームを落ち着かせる姿が中継カメラに映し出された。
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海外評価:OBのキーオンは「精神的な成長が著しく、若い選手を導けるリーダーになった」とコメントしている。
ポジション
アーセナルでの役割
ガブリエウ・マガリャンイスの本職は左センターバック(LCB)。
アーセナル加入以降、彼は常にこの位置で起用され、守備とビルドアップの両面で欠かせない存在となっている。
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ビルドアップの起点
左利きであるため、左サイドから自然な角度で縦パスやサイドチェンジを供給できる。アルテタの戦術では、右のサリバが守備に集中しやすいよう、ガブリエウが展開の多くを担っている。
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ラインコントロール
アーセナルは高い最終ラインを維持する戦術を採用しており、ガブリエウはそのライン統率を担う一人。裏へのスペースを狙われても、スピードでカバーできる点が評価されている。
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守備の相互補完
サリバが前へ出てアグレッシブに守備を行うのに対し、ガブリエウはポジションを保ち、スペース管理やカバーリングを担当。「前に出るサリバ、支えるガブリエウ」という役割分担が鉄壁の守備を形成している。
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セットプレーでの武器
守備では高さで相手のエースをマークし、攻撃では得点源としてゴール前に入る。アルテタは彼を「セットプレーでの二重の脅威」と表現した。
ブラジル代表での役割
代表チームでは、マルキーニョスやエデル・ミリトンとコンビを組むことが多い。
クラブとは異なり、代表ではより守備的で安定感を求められる。
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左CBとしての継続性
代表でもほとんどが左センターバック起用。プレースタイルが安定しているため、監督にとって配置の計算がしやすい。
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空中戦の要
南米予選やコパ・アメリカでは、セットプレーやロングボールが多用されるため、ガブリエウの高さは守備面で特に重宝される。 -
攻撃時の違い
アーセナルでは攻撃の起点となることが多いが、代表では中盤に技術の高い選手(カゼミーロ、ブルーノ・ギマランイス)が揃っているため、シンプルにボールを捌く役割に徹する傾向がある。
過去から現在への変化
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加入当初(2020-21)
アーセナル加入直後は、右CBで起用されることもあったが、本来のポジションではないため不安定さが目立った。 -
定位置確立(2021-22以降)
サリバが台頭してからは完全に左CBに固定され、相互補完関係が安定。ビルドアップとカバーリングの要として信頼を勝ち取った。
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現在(2024-25)
リーダーシップを発揮する場面も増え、実質的にディフェンスラインの“キャプテン”として機能している。
戦術的価値
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アーセナルにおいて:「ビルドアップとラインコントロールを担う左CB」
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ブラジル代表において:「空中戦と安定感をもたらす守備の支柱」
つまりガブリエウは、クラブと代表で微妙に役割は異なるものの、どちらにおいても「守備の基盤」として不可欠な存在である。
さいごに
ガブリエウ・マガリャンイスは、単なる守備者にとどまらない存在です。
左利きならではのビルドアップ力、屈強なフィジカルを活かした対人守備、そして意外性ある得点力を併せ持ち、アーセナルの戦術に不可欠なピースとなっています。
ブラジル代表でもマルキーニョスやミリトンと並び守備の中心を担い、国際舞台で存在感を強めている。
クラブと代表で求められる役割は異なっても、共通するのは「守備の基盤を支える信頼感」です。
今後さらに経験を重ねることで、彼はアーセナルだけでなくブラジル代表においても、名実ともに世界最高峰のセンターバックの一人として語られる存在となるでしょう。