ルカ・モドリッチ──貧困と戦争を生き抜いた少年が、世界最高の司令塔へと上り詰めた20年の軌跡。
ディナモ・ザグレブでの下積み、トッテナムでの覚醒、そしてレアル・マドリードで史上最多タイトル28冠を獲得し、バロンドールを手にした男。
その裏には、年俸推移だけでは語れない“進化の物語”と、世界のトップメディアが称賛し続けた圧倒的パフォーマンスがある。
本記事では2013年以降の年俸を日本円換算で完全網羅し、各クラブ時代のエピソード、海外メディアの評価、キャリアの節目となった名試合までまとめた。
「モドリッチ完全版」を今ここに。
モドリッチの年俸推移(ユーロ→日本円換算)
1ユーロ=165円換算
| シーズン | 年齢 | クラブ | 年俸(€) | 日本円換算 |
|---|---|---|---|---|
| 2025-26 | 39 | ACミラン | 6,480,000 | 約10.7億円 |
| 2024-25 | 39 | レアル | 10,420,000 | 約17.1億円 |
| 2023-24 | 38 | レアル | 21,880,000 | 約36.1億円 |
| 2022-23 | 37 | レアル | 21,880,000 | 約36.1億円 |
| 2021-22 | 36 | レアル | 21,880,000 | 約36.1億円 |
| 2020-21 | 35 | レアル | 21,880,000 | 約36.1億円 |
| 2019-20 | 34 | レアル | 21,880,000 | 約36.1億円 |
| 2018-19 | 32 | レアル | 18,640,000 | 約30.7億円 |
| 2017-18 | 31 | レアル | 14,670,000 | 約24.1億円 |
| 2016-17 | 30 | レアル | 14,180,000 | 約23.3億円 |
| 2015-16 | 29 | レアル | 7,360,000 | 約12.1億円 |
| 2014-15 | 28 | レアル | 7,650,000 | 約12.6億円 |
| 2013-14 | 27 | レアル | 8,050,000 | 約13.2億円 |
? ピーク時は年間36億円規模の収入。
? キャリア総収入は 約€190M(=約313億円) に達する。
クラブ別エピソード + 海外の反応
ディナモ・ザグレブ(2003–2008)
■ エピソード
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モドリッチは内戦で家を失い、ホテル暮らしで育つ。そこからザグレブの下部組織へ。
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2003年、ディナモは才能を見抜き「10年契約」を結ぶという異例の判断。
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契約金で最初にしたのは「家族のためにアパート購入」。貧しい家庭を支える目的だった。
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若手ながら“攻撃と守備の両方を1人でやる”万能型として評価。
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2007–08はキャプテン、クロアチアリーグ圧倒的優勝(28ポイント差)。
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アヤックス戦ではPKを沈めチームを欧州舞台へ導く。
■ 当時の海外評価
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FourFourTwo(英国):
“The most complete midfielder in Eastern Europe.”
(東欧で最も完成度の高いMF) -
The Guardian:
“A playmaker with unusual toughness.”
(異常なほどタフな司令塔) -
欧州スカウト評価
「技術はバルサ級、気質はイングランド向き」と両面で高評価。
→ この時点でアーセナル・チェルシー・バルサが獲得レースに参加するほど注目度が爆増。
トッテナム(2008–2012)
■ エピソード
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移籍金は1600万ポンド、クラブ史上最高額の期待。
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初年度は「軽すぎる」「プレミアでは成功できない」と酷評される。
しかしモドリッチは「批判が自分を強くした」と語る。 -
ハリー・レドナップ到来でCMFへ戻され覚醒。
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2010-11はプレミアで“最も正確なパサー”と称される(成功率87.4%)。
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トッテナムを 50年ぶりのCLへ導く中心選手 となる。
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チェルシー移籍騒動では「紳士協定」発言でプレミア全体の注目を集めた。
■ 当時の海外評価
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BBC:
“Modric sees the game seconds before others.”
(彼は他の選手より「数秒早く」プレーを見ている) -
Sky Sports:
“The most intelligent midfielder in the Premier League.” -
アレックス・ファーガソン(マンU監督):
「私の年間最優秀選手を選ぶならモドリッチだ」
→ プレミアで完全に“ワールドクラス”の地位を確立し、レアルのレーダーに入る。
レアル・マドリード(2012–2025)
レアル時代は各フェーズで海外評価が激変したため、段階別に整理する。
● 2012–2013:最初は「今季ワースト補強」
■ エピソード
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移籍直後はMarca紙が、「今季最悪の補強」と酷評。
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初期は交代出場が多く、ポジションも定まらなかった。
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しかし、マンU戦での約25mミドルは“キャリアを変えた一撃”と称される。
■ 当時の海外評価
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Marca(スペイン):
「適応できない」「軽すぎる」「パスが消極的」 -
しかしCLマンU戦後:
“El Gol que cambió todo.”(全てを変えたゴール)
→ 一発で評価が180度変わった典型例。
● 2013–2016:世界トップMFへ
■ エピソード
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“ラ・デシマ”達成の象徴。決勝のラモス弾を生んだCKは彼の精度の象徴。
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アンチェロッティの信頼は絶大で、90%のパス成功率を誇る。
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バランス、ゲームメイク、インターセプトがリーガ最高レベルに。
■ 海外評価
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AS(スペイン):
“Real Madrid’s metronome.”
(レアルの“メトロノーム”=試合のリズムを刻む存在) -
UEFA公式:
「中盤の支配者」「スペースの天才」
● 2016–2018:黄金期に突入(CL3連覇+バロンドール)
■ エピソード
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ジダン体制で“絶対不可欠の中心”へ。
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3連覇の中心で特に2017–18は
「史上最高のCMF」論争が世界規模で起きる。 -
2018W杯準優勝 → ゴールデンボール
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2018年:
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バロンドール
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UEFA最優秀選手
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FIFA最優秀選手
→ メッシ・ロナウドの時代を唯一止めた男。
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■ 海外評価
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France Football(バロンドール公式):
“He rewrote the rules of what a midfielder can be.” -
ESPN:
“The most influential midfielder of the decade.” -
BBC:
「モドリッチは芸術。これはスポーツでありアートだ。」
● 2019–2025:最年長記録の連発とレジェンド化
■ エピソード
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34歳以降もCL・リーガで主力。
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チェルシー戦の**“10年に一度のパス(トリベラ)”**で世界を震撼。
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39歳までレアルでプレー、史上最多タイトル(28冠)を獲得。
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2025年、世界的な惜別ムードの中で退団。
■ 海外評価
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Guillem Balagué(世界的記者):
“The end of an era.”(レアルの1つの時代の終焉) -
The Athletic:
“The greatest midfielder in Real Madrid’s history.”
ACミラン(2025– )
■ エピソード
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移籍は本人いわく「幼少期の夢だったミラン」。
en-wikipedia-org-wiki-Luka_Modr…
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セリエA史上最年長デビュー記録を更新。
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2戦連続MVP → 3戦目で初得点&Panini MVP
■ 海外評価
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Gazzetta(伊):
“A maestro even at 39. He conducts Milan like an orchestra.” -
Corriere:
“This is not nostalgia signing. This is a winner’s mentality.”
→ 年齢ではなく“クオリティ”で移籍を正当化させた、稀有なケース。
まとめ
ルカ・モドリッチのキャリアは、単なる年俸の増減では語り尽くせない。
ディナモで芽を出し、トッテナムで成長し、レアルで伝説となり、39歳でミランに挑む今も進化が止まらない。
ピーク時の年俸は36億円超という超一流の証でありながら、最も評価されたのは“金額ではない価値”──試合を読む力、リーダーシップ、圧倒的な勝負強さだ。
サッカー史に残る中盤の芸術家は、キャリア終盤に差し掛かった今もなお、世界から尊敬される存在であり続けている。
彼の歩みは、これからも多くの選手とファンの指標であり続けるだろう。

