アルゼンチン北西部ブエノスアイレス州シウダデラ出身のティアゴ・アルマダは、幼少期から数々の逆境に立ち向かいながら、世界を舞台に飛躍を遂げた「南米の希望」。
その背景には、家族・地域・コミュニティという強い土台がある。
今回は、彼の“家族”という切り口から、幼少期のエピソード、家族の影響、現在までの支えと、海外メディアが語るその家族との関係を深掘りする。
この記事の内容
ティアゴ・アルマダの出身・家庭環境
アルマダは2001年4月26日、アルゼンチン・ブエノスアイレス州シウダデラ(Ciudadela)で生まれました。
その幼少期を過ごしたのは、通称「Fuerte Apache(エフエルテ・アパチェ)」とも呼ばれるバリオ(地区)――
治安の課題、貧困、社会的なスティグマに晒されながらも、地域の中でサッカー文化が根付いている場所です。
家庭では、両親が共に働き、幼いティアゴは祖父母の元で過ごすことも多かったとされています。
また、補助的な収入を得るために、幼少期には家族を助ける意味でも「果物や野菜を売り歩いた」少年期もありました。
このような環境だからこそ、ティアゴには「家族への感謝」「地域への恩返し」「自分が掴むべきチャンス」という強いマインドが根付いていたと言われています。
1980年代~90年代のFuerte Apache出身サッカー選手の多くと同様、ボール一つで“抜け出す”という道を描いていました。
家族構成・父母・兄弟との関係
ティアゴが話す際、「まず最初に電話をしたのは家族だった」と語ったインタビューがあります。
具体的に両親の名前などが大々的に公表されていないものの、彼の語る言葉からは「父親」「母親」「兄弟・姉妹」「祖父母」の存在が常に近くにあることがうかがえます。
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【両親】多くの時間を仕事と生活で割いていたため、幼いティアゴは祖父母と過ごす時間が長かったと述懐。
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【兄弟姉妹】「兄弟がヴェレス(CA Vélez Sarsfield)に在籍していた」という記述が、スペイン語記事に見られます。
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【祖父母・地域】彼の出身地であるFuerte Apacheでは“家族・地域・仲間”の繋がりが非常に強く、祖父母世代、兄弟姉妹、近隣の子どもたちと育った経験は、「サッカーだけでなく人生観にも影響を与えた」とも語られています。
このような背景から、アルマダは自身を「自分だけのためにプレーしているのではない。
家族、近しい人たち、出身地のために走る」と語っており、家族との絆が彼のモチベーションの源泉であることが明白です。
家族が果たした“支え”と“影響”
幼少期からの支援・影
家族が共働き、地域環境が厳しい中、ティアゴは幼いころから“日常的な助け合い”の中で育ちました。
売り歩いた果物・野菜は、ただのお小遣い稼ぎではなく、「家族を助ける」という責任感の表れでもあります。
地域のハードな現実を知る=“底辺からの上昇”という軸を彼は持つことになります。
そのため、プロとして成功を収めても「初心を忘れない」「地域に貢献する」という姿勢をインタビューで見せています。
例えば、MLS移籍後、家族と共にCOVID-19禍で困窮する地域世帯向けの食料配給支援を始めたという報道もあり、これは単に“家族依存”ではなく、“家族を通じて地域を支える”という使命感の表れと捉えられています。
家族との“成功の共有”
2018年にプロデビュー、2022年にはFIFA World Cup 2022優勝メンバーとなった際、「最初に家族に電話した」と語るアルマダ。
インタビューでは涙ながらに、「家族とこの瞬間を共有したかった」「彼らがいなければ、ここには立てなかった」と述べています。
また、家族が彼を“支えるだけ”でなく、彼の夢を共に抱える“パートナー”になっていたことも印象的です。
アルマダは「家には、僕のイメージを信じてくれる人たちがいた」と振り返り、彼の成功の裏には家族の“信頼”があったと語っています。
海外メディアが描く「家族×アルマダ」
海外メディアも、アルマダの家族・出身環境を頻繁に取り上げています。以下、代表的な引用を紹介します。
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MLS公式インタビュー:「The first thing I did was call my family as tears were falling.(涙がこぼれそうになった時、まず家族に電話した)」と本人が語った。
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Soccer America:「Almada’s family celebrated his Argentina call-up with the same intensity of Fuerte Apache.(アルマダの代表召集を、彼の家族はFuerte Apache時代と同じ熱で祝った)」という動画記事。
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MLSSoccer特集:「During the COVID-19 pandemic, he and his family started an initiative to feed hungry families… they’ve decided to continue even as the worst effects are behind Argentina.(パンデミック中、彼と家族は飢える家族を助ける取り組みを始め、アルゼンチンの危機が落ち着いた今も継続している)」
これら報道からも、アルマダが“家族を軸”として成功ストーリーを築いていることが伝わっており、単なる“移籍ニュース”や“背番号情報”には収まらない深みがあります。
家族との関係がパフォーマンスに与える影響
家族の影響は、彼のプレースタイル・キャリア選択・メンタリティにも如実に表れています。
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責任感・謙虚さ:幼少期の家族支援経験は、プロになってからの「感謝・謙虚さ」という表情となって現れています。
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環境適応力:Fuerte Apacheという厳しい環境を経てきたことで、海外移籍・異文化適応にも折れないメンタルを培ったと分析されています。
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コミュニティ志向:家族と実践した地域支援は“社会貢献”という意識を芽生えさせており、クラブの地域活動にも積極的に参加しています。
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動機付けの源泉:「勝つのは自分だけのためではなく、家族・出身地のため」という原体験が、試合中の“気持ちの入れ方”にも影響を与えていると言われています。
例えば、MLS加入直後、彼は「僕が活躍することで、家族を楽にさせたい」というコメントを残しており、クラブ・ファンからも“実直な好青年”という評価が定着しました。
さいごに
ティアゴ・アルマダのキャリアを語る上で、彼の家族というキーファクターは欠かせません。
単なる“スター選手”というラベルではなく、「貧困地域から這い上がり、家族と地域を背負って世界へ飛び出した男」という物語性が、彼の魅力をさらに引き立てています。


