レアル・マドリードとブラジル代表で輝きを放つヴィニシウス・ジュニオール。
しかしその原点は、リオ郊外サン・ゴンサーロの貧しい路地での裸足サッカーにあります。
危険と隣り合わせの環境で育ちながらも、フットサルで培った技術と何度も挑戦する粘り強さを武器に夢を追いかけた少年時代。
支えてくれた家族や地域のつながり、憧れのスター選手から受けた影響は、現在のプレースタイルや人間性に色濃く残っています。
本記事では、ヴィニシウスの幼少期から現在に至るまでの人物像を深掘りします。
この記事の内容
ヴィニシウス・ジュニオールの出身地と初期環境
引用:dailymail
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ヴィニシウス・ジュニオールはリオデジャネイロ州サン・ゴンサーロで生まれ育った。
ここは大都市リオに隣接しているが、貧困地域で治安の問題や生活インフラの不十分さといった困難を抱える地域でもある。
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家は元々「行き止まりの道(dead-end street)」の端にあった、小さく簡素な住まいだった。
サン・ゴンサーロ住民たちは、BR-101高速道路に近接する地域で、公共サービスの整備が遅れていたり、住宅環境もきれいではない場所が多かった。
ヴィニシウスは“裸足で道や通りでボールを蹴る”といったごく当たり前の日常を過ごしていたことも語っている。
幼い頃のサッカーとの出会いとフラメンゴ育成期
引用:thesun
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幼少期から、フラメンゴのスクールに所属。
4〜6歳くらいの頃から「Escolinha do Flamengo」のスクールでフットサルをしたり、小さなクラブでの試合に参加していた。
非常に若いうちにフットサルでの技術が磨かれた。
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“Canto do Rio”(ニテロイにあるフラメンゴと関連したスクール)でフットサルに所属していた時期があり、そこではリーグ戦などのジュニア大会で得点王になることもあった。
つまり、幼少期からゴールを量産する才能があった。
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フラメンゴのユースに入るためには試験(トライアル)が必要で、9歳のときにフットサルの試験を受け、10歳になる年にまたテストを受けて正式に登録された。
身体が小さいことなどで「あと1年戻ってきて欲しい」と言われたこともあった。
家族・支え・困難
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家族は裕福ではなかった。
父親は建設業や別州での仕事などをして家を支え、母親はサン・ゴンサーロに留まって育児・家庭管理をしていた。
移動・練習施設への交通費などのコストが家族にとっては重荷だった。
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近隣住民・コミュニティとのつながりが強かった。家の近所や友人などが物資を助けたり、試合に参加できるように支えてくれたりすることが多かったという証言がある。
彼自身、出身地を誇りに思っていて、今でも育った場所を忘れず、子どもたちが夢を持てるようなロールモデルになりたいと話している。
ヴィニシウス・ジュニオールの性格や幼い頃の特徴
Vinícius Jr. Junior. pic.twitter.com/mRdGnQfdcZ
— Netflix France (@NetflixFR) May 17, 2025
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フラメンゴスクールで発見者(“discoverer”)と言われている Carlos Eduardo “Cacau” Abrantes は、「ヴィニシウスはフィールド上では非常に速く、ドリブルでの突破能力が際立っていたが、一方で人前では非常にシャイな子供だった」と述べている。
つまり、プレーでは自己主張が強く、しかし日常では控えめな一面もあった。
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幼少期から「間違いを恐れない」姿勢があった。路上でプレーしているとき、失敗しても立ち直ってボールを取りに行く、挑戦を繰り返すという意志が育まれた。
これはインタビューなどで“失敗した直後でも次のプレーをすぐに求める”という発言に現れている。
影響を受けたもの・夢の芽生え
?| Cacau [the person who discovered Vinicius]: “Vinicius’ rainbow flick a suprise? No. I saw him do it many times since he was little. He learned it in these fields of his childhood, here in Rio.” @marca
11 year old Vinicius Jr. ?? pic.twitter.com/wrN2ygusBY
— Madrid Xtra (@MadridXtra) November 19, 2021
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幼少期、多くの試合や練習を見てきた子どもたちの中で、彼はしばしばロナウジーニョやロビーニョのようなブラジルのスター選手を憧れの対象としていた。
彼らの華やかなプレー、ファンを魅了するスタイルに強く惹かれたという。
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また「裸足で道で蹴っていた時期」が彼にとって象徴的な思い出で、「そこから今の自分がある」という自己認識が彼の語る言葉の中にも出てくる。
幼少期と現在を結ぶ教訓
引用:thesun
これらのエピソードは、今のヴィニシウス・ジュニオールの人物像やプレースタイル、振る舞いに確実につながっている。
具体的には:
幼少期の経験 | 今に活きている特徴 |
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路上サッカー、貧困と隣り合わせの生活 | メンタルの強さ、どんな状況でもプレーに集中できる耐性 |
フットサルでの技術獲得・狭い場所でのドリブル | 独特のドリブル突破力、狭いスペースでの動きの良さ |
拒絶を経験 → トライアル合格の繰り返し | 粘り強さ、諦めない性格 |
家族・コミュニティからの支え | 謙虚さ・恩返しの意識、感謝の気持ちをもつ態度 |
憧れの選手との出会い(ロナウジーニョなど) | エンタメ性・ファンサービス的なパフォーマンス欲求もあり、人を楽しませたいという思い |
さいごに
サン・ゴンサーロの路地で育った幼少期は、ヴィニシウス・ジュニオールを“ただの才能ある選手”ではなく、“逆境を乗り越えた強靭な人物”へと鍛え上げました。
狭いスペースで磨いた突破力、拒絶を跳ね返してきた粘り強さ、家族やコミュニティへの感謝を忘れない心――。
そのすべてが、今の彼のプレーや言動に反映されています。
ヴィニシウスを語るとき、ゴールや年俸だけでは彼の魅力を語りきれません。
幼少期に培われた経験と人間性こそが、彼を唯一無二のスターに押し上げた最大の要因なのです。
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