アルゼンチン代表の新星、ニコ・パス(Nico Paz)。
レアル・マドリードのカンテラで育ち、現在はセリエA・コモで飛躍を続ける21歳の左利きプレーメーカーです。
モドリッチやクロースの系譜を継ぐような知性と技術を兼ね備えた中盤の創造者でありながら、ミドルシュートやフィジカルでも勝負できる“モダン型10番”として注目を集めています。
この記事では、海外の信頼ある分析メディア(Breaking The Lines, The Next Scout, WhoScored など)をもとに、ニコ・パスのポジション適性とプレースタイルを徹底的に解説します。
彼がなぜ「ポスト・メッシ世代」の中心候補と呼ばれるのか──その理由を探っていきましょう。
この記事の内容
ポジション
基本ポジションと起用パターン
ニコ・パス(Nicolás Paz Martínez)は、主に 攻撃的ミッドフィールダー(AMF) や セントラルミッドフィールダー(CMF) としてプレーする左利きのテクニシャンです。
生まれは2004年9月8日、スペイン・テネリフェ島。父親は元アルゼンチン代表の パブロ・パス というサッカー一家で育ちました。
現在はイタリア・セリエAの コモ(Como 1907) に所属し、レアル・マドリードBからのレンタルでステップアップ中です。
-
身長:186 cm
-
利き足:左足
-
代表:アルゼンチン代表(2024年デビュー)
海外データベース Transfermarkt によると、「主なポジション:攻撃的ミッドフィールダー」「その他:中央・左サイド」と記載されており、複数のポジションでプレーできるユーティリティ性が大きな特徴です。
戦術分析サイト Breaking The Lines はこう評しています:
“He has the ability to drop deep and carry the ball using his skill and pace. With his long passes and through balls, Paz can instantly switch his team from defence to attack.”
「彼はスキルとスピードを使って中盤の深い位置まで下がり、ボールを運ぶことができる。長いパスやスルーパスで瞬時に守備から攻撃へと切り替えられる。」
(出典:Breaking The Lines)
また、スカウト専門サイト The Next Scout も次のように分析しています:
“Left-footed attacking midfielder who excels at exploiting pockets of space between the lines.”
「左利きの攻撃的ミッドフィールダーで、相手守備のライン間に生まれるスペースを巧みに突く能力に秀でている。」
(出典:The Next Scout)
つまりニコ・パスは、「トップ下を中心に中盤から前線の間で自由に動き、攻撃を組み立てる10番型MF」。
さらに状況によってはインサイドハーフやウィングにも回れる“戦術的柔軟性”を持っています。
プレースタイル
ニコ・パスは、知性・技術・スピード・創造性・決定力の5要素を高水準で兼ね備える選手です。
以下では主要な特徴をそれぞれ詳しく掘り下げます。
特徴①:鋭いオフザボールの動き
“Excels at creating chances through sharp off-the-ball movement and quick one-touch passing.”
「鋭いオフザボールの動きとワンタッチパスでチャンスを作り出す能力に長けている。」
(出典:The Next Scout)
ニコ・パスは、ボールを持っていない時の動き(=オフザボール)が非常に巧みです。
相手の背後やライン間の“わずかなスペース”を見つけ出し、味方のパスコースを常に作り出します。
Breaking The Lines も次のように述べています:
“Paz is an elegant attacking midfielder … who has the ability to drop deep and carry the ball using his skill and pace.”
「パスは優雅な攻撃的MFであり、スキルとスピードを使って中盤深くまで下がりながら攻撃を組み立てることができる。」
Redditのレアル・マドリードファンの投稿でも印象的な一文があります:
“The ball is a magnet on his foot.”
「ボールがまるで足に吸い付いているようだ。」
つまり彼は、「ボールを持たなくても試合を動かし、ボールを持った瞬間にはチャンスを生み出す」タイプのプレーメーカーです。
特徴②:左足のキック精度とミドルシュート
ニコ・パスは典型的なレフティーマエストロ(左利きの司令塔)。
彼の左足は芸術的な軌道を描くことで知られています。
“His long passes and through balls can instantly switch play.”
「彼のロングパスやスルーパスは一瞬で展開を切り替えることができる。」
(出典:Breaking The Lines)
さらにイタリア語版Wikipediaでは次のように紹介されています:
“È dotato di tecnica, visione di gioco e un ottimo tiro di sinistro.”
「彼は高い技術と広い視野、そして優れた左足のシュート力を備えている。」
コモでは、約25mの位置から放ったミドルが決勝点となった試合もあり、“ミドルレンジから試合を変える能力” が評価を高めています。
特徴③:ドリブルとボールキャリー能力
ニコ・パスはボールを受けてからの“運び”が非常に滑らか。
ボディバランスとステップが軽く、1人でラインを突破するシーンが多い選手です。
Tribuna の記事ではこう報じられています:
“Thirteen minutes were enough for him to dribble past opponents four times.”
「わずか13分間で相手を4回もドリブルで抜き去った。」
(出典:Tribuna)
WhoScored でもプレースタイル欄に次のような特徴が並びます:
“Likes to dribble. Likes to cut inside. Likes to play short passes.”
「ドリブルを好む。カットインを好む。ショートパスを多用する。」
これらから、カットイン型ドリブラー×パスビルダーという二面性が見えてきます。
相手をかわした後、左足で鋭い縦パスやスルーを出す姿はまさに“ミニ・ディ・マリア”のようだと形容されています。
特徴④:パスセンスとクリエイティビティ
Breaking The Lines はニコ・パスを「passing maestro(パスの達人)」と表現。
“With his long passes and through balls, Paz can instantly switch his team from defence to attack.”
「彼はロングパスやスルーパスでチームを一瞬で守備から攻撃へと変化させることができる。」
また、The Next Scout も次のように補足します:
“His vision allows him to find diagonal options others can’t see.”
「彼の視野の広さは、他の選手には見えない斜め方向のパスコースを見つけ出す。」
代表デビュー戦でも、前線への“縦一本”が決定機を演出しており、若手ながら試合をコントロールする落ち着きと創造力を持っています。
特徴⑤:186cmの体格とユーティリティ性
技術派の10番にしては珍しく、186cmという高さとフィジカルを兼ね備えています。
空中戦にも強く、セカンドボールへの反応も早い。
“His frame allows him to shield the ball and hold up play when necessary.”
「彼の体格は、必要に応じてボールをキープし、味方の上がりを待つプレーを可能にする。」
(出典:Breaking The Lines)
また、左サイド・右サイド・中央のいずれでもプレー可能で、クラブでも複数ポジションでの起用が増加中。
その汎用性は「アルゼンチン代表のモドリッチ枠」と評されることもあります。
特徴⑥:得点感覚と決定力
アルゼンチン紙 Olé は2025年初頭の記事で、「ニコ・パスは中盤の選手ながらフィニッシャーとしての冷静さを持つ」と報じました。
“He scores like a striker, but plays like a playmaker.”
「彼はストライカーのように得点し、プレーメーカーのように試合を動かす。」
2024-25シーズン前半だけでセリエA3ゴール・2アシストを記録し、一発で流れを変えるミドル・逆足シュートも増えています。
ゴール・アシストの“両輪で結果を出せるMF” という点は、メディア評価でも「アルゼンチン代表の中盤に新しいタイプをもたらす存在」として注目を集めています。
総合評価と今後の展望
ニコ・パスは、レアル・マドリード育ちの左利きプレーメーカーであり、同世代のアルダ・ギュレル(トルコ)やパブロ・ガビ(スペイン)と比較しても、よりバランス型・万能型のミッドフィールダーです。
-
創造力 × 守備参加 × 決定力 を兼ね備えた「モダンな10番」
-
戦術理解度 が高く、アンチェロッティも若手の中で最も信頼していた1人
-
アルゼンチン代表 ではガルナチョ、エセキエル・フェルナンデスとともに「ポスト・メッシ世代」として注目
次世代のアルゼンチン代表では「右インサイドハーフ」や「トップ下」でのスタメン定着が期待されており、2026年ワールドカップ出場 も現実味を帯びています。
さいごに
ニコ・パスは、単なる有望株ではなく、「アルゼンチン代表の未来像」を体現するような選手です。
柔らかなタッチと視野の広さ、そして186 cmの体格を活かしたボールキープ力。
彼のプレーには、“南米の創造性”と“ヨーロッパの戦術理解”の両方が息づいています。
まだ21歳ながら、セリエAでの経験を糧に確実に進化を遂げており、今後2〜3年でレアル・マドリード、そしてアルゼンチン代表の中核を担う可能性は十分。
2026年ワールドカップで彼の名が世界に広まる――
その瞬間を、今から追いかけておく価値があります。


