アイユーブ・ブアディは、リールとモロッコ代表で注目を集める若手ミッドフィールダーです。
2007年10月2日生まれで、身長は約185cm。主戦場はセントラルミッドフィールダーですが、守備的ミッドフィールダーでもプレーできる柔軟性を持っています。
特徴的なのは、長身ながら動きが重くなく、ボールを持ったときの滑らかさと落ち着きが際立っていること。
プレッシャーを受けても慌てず、パスだけでなく自らドリブルで前進できるため、中盤の底からチームの攻撃を組み立てられる選手です。
一方で、守備面でもデュエル能力が高く、いわゆる「パスだけが上手い司令塔」ではありません。
ここでは、アイユーブ・ブアディのポジションやプレースタイル、強み、今後の課題について詳しく見ていきます。
この記事の内容
アイユーブ・ブアディのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | アイユーブ・ブアディ |
| 生年月日 | 2007年10月2日 |
| 出生地 | フランス・サンリス |
| 身長 | 約185cm |
| 利き足 | 右 |
| ポジション | セントラルミッドフィールダー |
| その他のポジション | 守備的ミッドフィールダー |
| 所属クラブ | LOSCリール |
| 代表 | モロッコ代表 |
Transfermarktでは、ブアディのメインポジションはセントラルミッドフィールダー、副ポジションは守備的ミッドフィールダーとされています。また、右利きで、リールとの契約は2029年6月までとなっています。
2025-26シーズンにはリーグ・アンで30試合に出場。ヨーロッパリーグでも10試合に出場しており、10代ながらすでにトップレベルで多くの経験を積んでいます。
アイユーブ・ブアディの主なポジション
セントラルミッドフィールダー
ブアディが最も多くプレーしているのが、セントラルミッドフィールダーです。
Transfermarktの出場ポジション別データでは、セントラルミッドフィールダーで54試合に出場しています。
守備的ミッドフィールダーでの出場が8試合なので、現時点では中央の中盤を広く動く役割が中心といえるでしょう。
セントラルミッドフィールダーとしては、後方からボールを引き出して味方につなぐだけでなく、自ら運んで相手の中盤を越えていけるところが大きな特徴です。
単純にパスを横へ散らすだけではなく、
「どこで受ければ前を向けるか」
「どのタイミングで運ぶべきか」
を判断しながらプレーできるため、中盤のテンポを作る役割を任せやすい選手です。
守備的ミッドフィールダー(ボランチ)
守備的ミッドフィールダーでもプレー可能です。
ブアディはボール奪取だけを専門とするタイプではなく、最終ラインの前でボールを受け、攻撃の起点になることができます。
プレッシャー下でも落ち着いてプレーし、正確なパスとボールキャリーを武器とする選手と説明されています。
また、深い位置から試合をコントロールできるミッドフィールダーともされています。
そのため、アンカーやダブルボランチの一角として起用された場合でも、
守備でボールを回収する
↓
相手のプレスを外す
↓
前線へボールを供給する
という流れを一人でつなげられるのが魅力です。
右サイドバックなどでもプレー可能
ブアディは中盤だけに限定された選手ではありません。
出場データでは、右サイドバックで3試合、センターバックと攻撃的ミッドフィールダーでもそれぞれプレー経験があります。
もちろん、現時点で右サイドバックやセンターバックが本職というわけではありません。
それでも複数ポジションで起用されていることは、戦術理解度や技術的な適応力の高さを示していると考えられます。
モロッコ代表での役割
ブアディはフランスの年代別代表を経験した後、2026年にモロッコ代表へ変更しています。
モロッコ代表では2026年5月26日にデビューし、その後ワールドカップにも出場しました。
W杯ではブラジル戦やオランダ戦で守備的ミッドフィールダーとして出場した一方、スコットランド戦、カナダ戦、フランス戦などではセントラルミッドフィールダーとして起用されています。
つまり代表でも、
「固定されたアンカー」
というより、
試合展開や相手に応じて中盤の役割を変えられる選手として使われていることが分かります。
アイユーブ・ブアディのプレースタイルと5つの特徴
① プレスを受けても慌てない抜群のボール保持力
ブアディの大きな特徴が、プレッシャーを受けても慌てにくいことです。
中盤の選手にとって、相手に囲まれた状態でボールを受ける場面は珍しくありません。
特に守備的ミッドフィールダーの場合、一度ボールを失えばそのままカウンターにつながる危険もあります。
それでもブアディは、相手が寄せてきたからといってすぐに逃げるパスを選ぶわけではありません。
体の向きを変えたり、ボールを置く位置を調整したりしながら、次のプレーにつなげます。
資料でも、プレッシャー下での落ち着きがブアディの特徴として挙げられています。
若い選手の場合、技術はあってもプレッシャーを受けた瞬間に判断が急ぎすぎてしまうことがあります。
しかしブアディには、その年代らしからぬ余裕があります。
② 滑らかなドリブルで中盤からボールを運ぶ
ブアディのプレースタイルを語るうえで欠かせないのがドリブルです。
2026年W杯のブラジル戦では4-2-3-1の右側のセントラルミッドフィールダーとしてプレー。
分析記事では、ブアディのドリブルがプレースタイルの中心的な要素とされ、滑らかにボールを運ぶ技術が高く評価されています。
ブアディのドリブルは、ウインガーのように相手を何人も抜き去るためのものとは少し違います。
中盤で相手のプレスラインを1枚越えるための運びです。
例えば、相手FWがボールを奪おうと寄せてきた際に、その横を持ち出すだけでも相手の守備配置は崩れます。
すると、
相手MFが前に出る
↓
背後にスペースができる
↓
味方の攻撃選手がボールを受けやすくなる
という効果が生まれます。
パスだけではなく自らボールを運べるため、相手からすると守り方を限定しにくい選手です。
③ 正確なパスでゲームを組み立てる
ブアディはボールキャリーだけでなく、パス能力も高く評価されています。
無理に毎回決定的な縦パスを狙うというより、味方との距離や相手の配置を見ながらボールを動かしていきます。
中盤の底でプレーするときには、センターバックからボールを引き出し、左右へ展開する役割も担えます。
一方、前を向ける場面では縦方向へボールを運んだり、前線へパスを通したりすることもできます。
資料でも、正確なパスと深い位置からゲームを組み立てる能力がブアディの特徴として挙げられています。
「ボールを取られないためのパス」だけでなく、「相手の守備を動かすためのパス」を選べるところがポイントです。
④ 185cmのサイズを生かしたデュエルの強さ
ブアディは約185cmと、中盤の選手として十分なサイズがあります。
しかし、単に身長が高いだけではありません。
守備時の対人能力も高く、フィジカル面でも存在感を示せる選手です。
United in Focusの記事では、欧州主要リーグのミッドフィールダーとの比較で、守備的デュエルと守備的デュエル勝利数が94パーセンタイルに位置すると紹介されています。
もちろん、これは特定の分析データに基づく評価ですが、少なくともブアディが技術だけで勝負するタイプではないことは分かります。
相手への寄せやボール奪取だけでなく、長いリーチを使ってコースを消すこともできます。
攻撃時には滑らかにプレーし、守備ではしっかり戦える。
この両面性がブアディの大きな魅力です。
⑤ 状況判断と戦術理解度の高さ
ブアディが若くしてリールのトップチームに定着できた背景には、技術やフィジカルだけでなく、状況判断の良さもあるでしょう。
中盤では、
ボールを受ける
パスを出す
運ぶ
守備へ切り替える
スペースを埋める
といった判断を短時間で繰り返さなければなりません。
ブアディはセントラルMFだけでなく、守備的MFや右SBでも起用されており、複数の役割に対応してきました。
さらに17歳の誕生日にはチャンピオンズリーグのレアル・マドリード戦で先発しています。
負傷者や出場停止などでリールの中盤が手薄になった事情はあったものの、この大一番で起用され、チームは1-0で勝利。ブアディのパフォーマンスも高く評価されました。
このエピソードからも、若くても戦術的な役割を任せられる選手だったことがうかがえます。
アイユーブ・ブアディの弱点・今後の課題
得点やアシストなど攻撃面の数字
現時点で分かりやすい課題となっているのが、得点やアシストなど直接的な攻撃結果です。
Transfermarktのデータでは、リールのトップチームで96試合に出場して4アシスト。得点は記録していません。
United in Focusの記事でも、シュート数やゴール関与は他のミッドフィールダーと比較して低い部類に入るとされています。
もちろん、ブアディは本来ゴール量産を求められる攻撃的MFではありません。
そのため、得点数だけで能力を判断するべきではないでしょう。
ただ、より完成度の高いセントラルミッドフィールダーになるためには、
ミドルシュート
ペナルティーエリアへの飛び出し
ラストパス
など、相手ゴール付近での仕事が増えてくればさらに怖い存在になります。
より高い位置での決定的な仕事
ブアディは後方から試合を作る能力が高い一方、相手ゴール前での決定力という点ではまだ伸びしろがあります。
ゲームメイク型のMFであっても、トップクラブでは攻撃の最後の局面に関与する力を求められる場合があります。
例えば、
相手守備を崩す縦パス
ペナルティーエリア手前からのシュート
最後の一人を外すドリブル
といったプレーです。
ここが伸びれば、「優秀なボランチ」から「試合全体を支配できるMF」へさらに近づいていくでしょう。
18歳という若さ
弱点というより、今後さらに伸びる余地として考えたいのが経験です。
とはいえ、一般的な18歳の選手と比べれば、ブアディの経験値はかなり高いです。
2023-24シーズンからトップチームでプレーし、2024-25シーズンはリーグ・アン24試合、2025-26シーズンは30試合に出場しています。
チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、ワールドカップも経験済みです。
そのため「経験不足」と断定するよりも、これからトップレベルで試合を重ねることで、判断の精度や試合のコントロール能力がさらに向上していく段階と見るのがよさそうです。
アイユーブ・ブアディはどんな選手に似ている?
ブアディを特定のスター選手と完全に重ねるのは難しいところです。
それよりも、
長身
高いプレス耐性
正確なパス
中盤からのボールキャリー
守備でのデュエル能力
を兼ね備えた、現代型のセントラルミッドフィールダーと表現するほうが適しています。
昔ながらの守備専門型ボランチでもなく、攻撃だけに特化した司令塔でもありません。
ボールを受けて組み立てることもできれば、自ら相手の守備を突破することもでき、ボールを失えば守備にも参加できます。
特に長身ながらボールの扱いが滑らかなところは、ブアディならではの魅力といえるでしょう。
若くしてリールの主力となったアイユーブ・ブアディ
ブアディのキャリアは、非常に早い段階から注目を集めています。
2023年10月5日、KÍ戦でリールのトップチームデビュー。
当時16歳3日で、欧州クラブ大会に出場した史上最年少選手となりました。さらにリールの公式戦最年少出場記録も更新しています。
その約1年後の2024年10月2日には、17歳の誕生日にチャンピオンズリーグのレアル・マドリード戦へ先発。
リールは1-0で勝利し、ブアディのパフォーマンスも高く評価されました。
さらに2026年1月には、リールでリーグ・アン50試合出場を達成した史上最年少選手となり、それまでエデン・アザールが持っていた記録を更新しています。
10代ですでにこれだけの経験を積んでいることを考えれば、将来を期待されるのも当然でしょう。
まとめ
アイユーブ・ブアディは、セントラルミッドフィールダーを主戦場とする現代型のMFです。
守備的ミッドフィールダーでもプレー可能で、過去には右サイドバックやセンターバックなどでの起用経験もあります。
プレースタイルの特徴は、プレッシャー下でも落ち着いてボールを扱えること、滑らかなドリブルで中盤から前進できること、正確なパス、そして185cm前後のサイズを生かしたデュエルの強さです。
一方、得点やアシストなど直接的な攻撃結果については、今後さらに伸ばせる部分があります。
それでも、18歳の段階ですでにリーグ・アン、欧州カップ戦、ワールドカップを経験している点は特筆すべきでしょう。
ボールを扱う技術と守備能力の両方を備えたブアディが、今後どこまで完成度の高いミッドフィールダーへ成長するのか注目です。



