欧州で確実に評価を積み上げてきた日本代表DF・板倉滉。
派手なスターではないが、「出場し続ける」「適応し続ける」ことで価値を高めてきたCBだ。
マンチェスター・シティ移籍後、フローニンゲン、シャルケ、ボルシアMGを経てアヤックスへ。
そのキャリアは一貫して、名声よりも実戦、控えよりも信頼を選び続けた歩みと言える。
本記事では、板倉滉の
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年俸
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移籍金
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市場価値
を推移表+日本円換算で分かりやすく整理しながら、「なぜその数字になったのか?」を海外の反応・評価・エピソードから徹底解説する。
数字だけでは見えない、欧州での“本当の評価”を知りたい人に向けた完全版だ。
この記事の内容
板倉滉の年俸推移(推定)
(Capology掲載の「ベース年俸+一部ボーナス」ベース。Ajax移籍後はボーナス枠も掲載あり)
| シーズン | クラブ | 推定年俸(€) | 推定年俸(億円) | 推定ボーナス(€) | 推定ボーナス(億円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017-2018 | フローニンゲン | €600,000 | 1.09億円 | — | — |
| 2018-2019 | フローニンゲン | €600,000 | 1.09億円 | — | — |
| 2019-2020 | フローニンゲン | €600,000 | 1.09億円 | — | — |
| 2020-2021 | フローニンゲン | €600,000 | 1.09億円 | — | — |
| 2021-2022 | シャルケ04 | €780,000 | 1.42億円 | — | — |
| 2022-2023 | ボルシアMG | €1,890,000 | 3.44億円 | — | — |
| 2023-2024 | ボルシアMG | €1,890,000 | 3.44億円 | — | — |
| 2024-2025 | ボルシアMG | €1,890,000 | 3.44億円 | — | — |
| 2025-2026 | アヤックス | €3,530,000 | 6.43億円 | €530,000 | 0.97億円 |
| 2026-2027 | アヤックス | €3,530,000 | 6.43億円 | €530,000 | 0.97億円 |
| 2027-2028 | アヤックス | €3,530,000 | 6.43億円 | €530,000 | 0.97億円 |
| 2028-2029 | アヤックス | €3,530,000 | 6.43億円 | €530,000 | 0.97億円 |
ポイント
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アヤックスでは「推定年俸 €3.53m+推定ボーナス €0.53m(年)」の設計。
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ただし Capology 側も「給与は推定で公式値ではない」旨を明記しています。
年俸にまつわるエピソード・海外の反応・評価
「控えでも腐らない」欧州評価の原点
板倉滉の評価を語るうえで、欧州メディアや現地ファンが繰り返し言及するのが「置かれた環境に適応する力」だ。
マンチェスター・シティに完全移籍した当初、「プレミアで即戦力になるCBではない」という評価が大勢を占めていた。
実際、トップチーム出場はなく、ローン前提の獲得だった。
しかしここで板倉は“評価を取りに行く選択”をした。
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名門への固執を捨て
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出場機会が保証される中堅クラブ(フローニンゲン)を選択
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4シーズンにわたり、ほぼ毎年主力として出場
この姿勢は、オランダ現地メディアで
「日本人CBの中でも、適応力と自己管理能力が突出している」
と評価されるようになる。
年俸は決して高くない時期でも、“出続ける”ことを最優先した判断が、後の高年俸契約につながった点は、欧州型キャリアの好例と言える。
シャルケ時代「昇格請負人」という異名
シャルケ04へのローン移籍は、板倉の評価を一段引き上げた転機だ。
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2部リーグでのプレッシャー
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名門クラブ特有の「勝って当たり前」という空気
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財政不安とチーム再建の混乱
この厳しい環境で、板倉は、CBでありながら守備の基準点として機能した。
ドイツ現地紙では、
「守備ラインの“静かな司令塔”」
「感情的にならず、常に最適解を選ぶCB」
と評され、
ファンフォーラムでは「なぜ完全移籍しない?」という声が頻出するほどだった。
この時点で板倉の評価は、「将来有望」から「既に戦力として信頼できるCB」へと変わった。
年俸がシャルケ→ボルシアMGで大きく跳ね上がったのは、“昇格という結果”を伴った評価だった点が大きい。
ボルシアMGでの評価「守れるだけではないCB」
ボルシアMG移籍後、板倉の評価はさらに質的に変化する。
ブンデスリーガでは
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対人守備
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空中戦
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ビルドアップ
のすべてが高い基準で求められる。
板倉は特に、「縦パスの質」「持ち運び判断」で評価を高めた。
ドイツメディアでは、
「彼は“止めるCB”ではなく、“前に進めるCB”」
「日本人DFのイメージを更新した存在」
という論調が増加。
結果として
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スタメン定着
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市場価値の急上昇
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年俸1.8mユーロ台への到達
と、評価・報酬・市場価値が連動して上昇した。
アヤックス移籍と高年俸の意味
アヤックスで提示された年俸 約€3.53m+ボーナスは、単なる実績評価ではない。
アヤックスが評価したのは、
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欧州複数リーグでの適応経験
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戦術理解の高さ
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リーダーシップ(年齢・代表経験)
オランダメディアでは、
「アヤックスが“即戦力CB”にこの条件を出すのは異例」
と報じられており、将来売却前提の若手ではなく、“チームを安定させる核としての契約だと読み取れる。
板倉滉の移籍金推移
ここはTransfermarktの “Transfer details” を優先して整理(ローンは移籍金なし扱い)しています。
| 時期 | 移籍元 | 移籍先 | 形態 | 移籍金(€) | 移籍金(億円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019/01 | 川崎フロンターレ | マンチェスター・シティ | 完全移籍 | €1,100,000 | 2.00億円 |
| 2019/07 | マンチェスター・シティ | フローニンゲン | ローン | — | — |
| 2021/07 | フローニンゲン | マンチェスター・シティ | ローン終了 | — | — |
| 2021/08 | マンチェスター・シティ | シャルケ04 | ローン | — | — |
| 2022/05 | シャルケ04 | マンチェスター・シティ | ローン終了 | — | — |
| 2022/07 | マンチェスター・シティ | ボルシアMG | 完全移籍 | €5,000,000 | 9.10億円 |
| 2025/08 | ボルシアMG | アヤックス | 完全移籍 | €1,000,000 | 1.82億円 |
マンチェスター・シティが「手放さなかった理由」
板倉はシティで公式戦出場はなかったが、完全放出されず、長期にわたり“保有され続けた”点が重要だ。
これは裏を返せば、
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市場価値が下がらなかった
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ローン先で評価を維持し続けた
ことを意味する。
欧州では
「売れない選手」より「価値を保つ選手」の方が評価される
板倉はまさに後者だった。
ボルシアMG移籍金€5mの意味
€5mという金額は、CB市場では「博打」ではなく「計算できる補強」のライン。
ドイツメディアでは、
「即レギュラーを任せられる価格帯」
「失敗しにくい投資」
と評され、結果的にこの評価は正しかったと言える。
アヤックス移籍金が低く見える理由
一見すると、ボルシアMG → アヤックス €1mは安く見える。
しかし実際は、
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契約年数
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年齢
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給与負担
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即戦力性
を考慮した条件整理型の移籍。
アヤックス側は、移籍金より年俸に投資する判断をしており、これはクラブの戦略を理解しての獲得だった。
板倉滉の市場価値推移
まず最新値は、Transfermarktプロフィール上で €10.00m(更新:02/12/2025) 。
| 時点 | クラブ | 市場価値(€) | 市場価値(億円) |
|---|---|---|---|
| 2018 | 川崎F/フローニンゲン | €500,000 | 0.91億円 |
| 2020 | フローニンゲン | €2,000,000 | 3.64億円 |
| 2022 | シャルケ04 | €4,000,000 | 7.28億円 |
| 2023/09頃 | ボルシアMG | €15,000,000 | 27.30億円 |
| 2024/03 | ボルシアMG | €12,000,000 | 21.84億円 |
| 2025/12 | アヤックス | €10,000,000 | 18.20億円 |
なぜピークが€15mだったのか
2023年に市場価値が€15mまで到達した理由は明確だ。
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ブンデスリーガでの安定出場
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日本代表での主軸化
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年齢(ピークゾーン)
「結果・年齢・環境」がすべて揃った瞬間だった。
現在€10mでも「評価が下がった」とは言えない理由
市場価値は
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契約
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年齢
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リーグ移動
で上下する。
現在€10mという数字は、“戦力としての信頼値”が反映された妥当な評価であり、
「急落」ではなく「安定帯への移行」
と見るのが欧州的な解釈だ。
さいごに
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板倉滉の年俸は、フローニンゲン時代の約1億円台から、アヤックスでは約6億円超へと段階的に上昇
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移籍金は実績と信頼に比例し、ボルシアMG移籍時には「計算できる即戦力CB」として評価された
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市場価値は2023年にピークを迎えた後も、欧州では「安定戦力帯」として高水準を維持している
派手さはないが、どのリーグでも適応し、監督から信頼される。
板倉滉は、欧州で最も評価がブレにくい日本人DFの一人と言っていい。
数字の裏側にあるのは、「出られる場所を選び、結果で評価を積み上げる」という極めて欧州的なキャリア判断だ。
今後どのクラブでプレーしても、その価値が大きく揺らぐことはないだろう。
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