FIFAワールドカップで優勝した国だけが掲げることを許される黄金のトロフィー。
リオネル・メッシ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウド、ペレなど、世界中の名選手たちが憧れてきたサッカー界最高の象徴です。
しかし、ワールドカップトロフィーについて詳しく知っている人は意外と多くありません。
「正式名称は何?」
「値段はいくら?」
「本物は優勝国が持ち帰れる?」
「なぜブラジルだけが永久保持できた?」
「盗まれたトロフィーはどうなった?」
こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実はワールドカップトロフィーには、盗難事件、行方不明、犬が発見した奇跡、第二次世界大戦中に靴箱へ隠された話など、映画のようなエピソードが数多く残されています。
この記事では、ワールドカップトロフィーの名前、値段、歴史、盗難事件、本物を持てる人の条件まで詳しく解説します。
この記事の内容
ワールドカップトロフィーの正式名称は?
ワールドカップのトロフィーは、歴史上大きく分けて2種類あります。
1つ目が、1930年から1970年まで使用された「ジュール・リメ・トロフィー」。
2つ目が、1974年大会から現在まで使用されている「FIFAワールドカップトロフィー」です。
つまり、現在テレビや表彰式でよく見る両手で地球を支えているようなデザインのトロフィーは、2代目のトロフィーということになります。
初代トロフィー:ジュール・リメ・トロフィー
The iconic Jules Rimet trophy. Stolen from @CBF_Futebol #onthisday in 1983. pic.twitter.com/qszd9MtbWi
— FIFA Museum (@FIFAMuseum) December 19, 2016
初代トロフィーの正式名称は「ジュール・リメ・トロフィー」です。
もともとは「Victory」と呼ばれていましたが、1946年にFIFAワールドカップ創設に尽力したジュール・リメ氏を称えて改名されました。
デザインを手がけたのは、フランスの彫刻家アベル・ラフルール氏。
トロフィーには、古代ギリシャ神話の勝利の女神ニケが表現されています。
高さは約35cm、重さは約3.8kg。
素材は金メッキを施した銀で、台座にはラピスラズリが使われていました。
現在のトロフィーと比べると小ぶりですが、1930年から1970年までのワールドカップを象徴する存在でした。
2代目トロフィー:FIFAワールドカップトロフィー
現在使用されているトロフィーの正式名称は「FIFAワールドカップトロフィー」です。
1970年大会でブラジルが3度目の優勝を果たし、当時の規定によりジュール・リメ・トロフィーを永久保持することになりました。
そのため、FIFAは新しいトロフィーを制作する必要がありました。
そこで7か国53人の彫刻家からデザイン案を募集。
選ばれたのが、イタリア人彫刻家シルビオ・ガッツァーニガ氏の作品でした。
現在のトロフィーは、2人の人間が地球を支えているようなデザインになっています。
これは「勝利の瞬間」と「世界をつかむ栄光」を表現したものです。
高さは約36.8cm、重さは約6.175kg。
素材には18金とマラカイトが使われています。
ワールドカップトロフィーの値段はいくら?
引用:facebook
ワールドカップトロフィーの値段については、よく「数億円」「20億円以上」などさまざまな説があります。
ただし、正確な市場価格を出すことはできません。
なぜならワールドカップトロフィーは売買されるものではなく、スポーツ史における唯一無二の象徴だからです。
ここでは、素材としての価値と歴史的価値に分けて考えてみましょう。
現在のトロフィーの素材価値
現在のFIFAワールドカップトロフィーは、18金を使用して作られています。
18金は純金ではなく、金の含有率が75%の素材です。
トロフィー全体の重さは約6.175kgですが、すべてが金というわけではありません。
台座には緑色のマラカイトが使われているため、単純に「6.175kgすべてを金価格で計算する」のは正確ではありません。
海外メディアでも、現在のトロフィーは約5kgの18金を含むと紹介されることがあります。
仮に5kgの18金として計算すると、純金換算では約3.75kg分の金が含まれていることになります。
2026年6月時点の日本国内の金価格をもとにすると、素材としての金の価値だけでも約9500万円前後になります。
ただし、これはあくまで金としての計算です。
デザイン料、制作技術、歴史的価値、FIFAワールドカップというブランド価値を含めれば、実際の価値はそれをはるかに上回ると考えられます。
ジュール・リメ・トロフィーの値段は?
初代ジュール・リメ・トロフィーは、現在のトロフィーとは違い、金メッキを施した銀製でした。
そのため、素材価値だけで見れば現在のFIFAワールドカップトロフィーより低かったと考えられます。
しかし、歴史的価値は別です。
1930年から1970年まで使用され、ウルグアイ、イタリア、西ドイツ、ブラジル、イングランドなどが掲げたトロフィーであり、サッカー史そのものと言える存在でした。
もし現存してオークションに出品されれば、素材価値ではなく歴史的価値によって莫大な金額になる可能性があります。
ただし、ジュール・リメ・トロフィーは1983年にブラジルで盗難され、現在も行方不明です。
一般的には、溶かされて売られた可能性が高いと言われています。
本物のワールドカップトロフィーは優勝国が持ち帰れる?
引用:newyorker
結論から言うと、現在のワールドカップ優勝国は本物のトロフィーを永久に持ち帰ることはできません。
優勝セレモニーでは本物のFIFAワールドカップトロフィーを掲げることができます。
しかし、その後はFIFAへ返却されます。
優勝国に贈られるのは、本物ではなくレプリカです。
このレプリカには優勝国名が刻まれますが、オリジナルとは別物です。
現在の本物のトロフィーは、基本的にFIFAが管理しており、特別なイベントやトロフィーツアー、決勝戦などの限られた場面でのみ登場します。
誰が本物のトロフィーに触れることができる?
ワールドカップトロフィーは、誰でも触れるものではありません。
本物のトロフィーに素手で触れることが許されているのは、基本的に限られた人物だけです。
主に、
- ワールドカップ優勝経験者
- 優勝チームの監督
- FIFA関係者
- 国家元首
などです。
そのため、展示イベントなどでトロフィーを見ることはできても、一般のファンが素手で触れることはできません。
ワールドカップトロフィーは、それほど特別に扱われている存在なのです。
なぜブラジルだけが初代トロフィーを永久保持できた?
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ブラジルは1970年メキシコ大会で3度目のワールドカップ優勝を果たしました。
当時は「3回優勝した国がジュール・リメ・トロフィーを永久保持できる」という規定がありました。
そのためブラジルは、初代トロフィーを正式に永久保持する権利を得ました。
ブラジルが優勝した大会は、
- 1958年スウェーデン大会
- 1962年チリ大会
- 1970年メキシコ大会
の3回。
ペレを中心としたブラジル黄金時代の象徴とも言える偉業です。
しかし、その永久保持されたジュール・リメ・トロフィーは、1983年にブラジルサッカー連盟から盗まれてしまいました。
そして現在も発見されていません。
サッカー界最大級のミステリーの一つです。
ワールドカップトロフィー盗難事件の真相
ワールドカップトロフィーは、実は一度だけでなく複数回大きな事件に巻き込まれています。
その中でも特に有名なのが、1966年のイングランド盗難事件と、1983年のブラジル盗難事件です。
1966年:イングランドで盗まれたトロフィー
1966年イングランド大会の直前、ジュール・リメ・トロフィーはロンドンで展示されていました。
しかし展示期間中に、トロフィーが盗まれてしまいます。
大会前に優勝トロフィーが消えるという、前代未聞の大事件でした。
警察は捜査を行い、脅迫状や身代金要求も出てきましたが、なかなかトロフィーは見つかりません。
ところが数日後、奇跡のような出来事が起こります。
トロフィーを発見したのは、人間ではありませんでした。
「ピクルス」という名前の犬だったのです。
ピクルスは、南ロンドンの住宅街で新聞紙に包まれたトロフィーを発見。
この出来事によって、ピクルスは一躍イングランドの英雄となりました。
その後、イングランド代表は1966年大会で優勝。
まるで物語のような展開となりました。
1983年:ブラジルで再び盗難
1970年大会後にブラジルへ永久譲渡されたジュール・リメ・トロフィー。
しかし1983年、ブラジルサッカー連盟の本部から盗まれてしまいます。
犯人は逮捕されましたが、トロフィーは戻ってきませんでした。
現在も行方不明であり、一般的には「溶かされて売られた可能性が高い」と言われています。
もし本当に溶かされていたとすれば、サッカー史上最も貴重なトロフィーが金属として処分されてしまったことになります。
非常に悲しい事件です。
第二次世界大戦中はベッドの下の靴箱に隠されていた
ジュール・リメ・トロフィーには、戦争を生き延びたエピソードもあります。
1934年、1938年とイタリア代表がワールドカップを連覇したため、当時トロフィーはイタリアに保管されていました。
その後、第二次世界大戦が始まります。
トロフィーがナチスに奪われることを恐れたイタリアのサッカー関係者オットリーノ・バラッシ氏は、銀行からトロフィーを持ち出し、自宅のベッドの下にある靴箱へ隠したと言われています。
世界最高峰のサッカートロフィーが、ベッドの下の靴箱で守られていた。
まさに映画のような話です。
この行動がなければ、ジュール・リメ・トロフィーは戦争中に失われていたかもしれません。
優勝キャプテンがトロフィーを掲げるようになったきっかけ
引用:facebook
今ではワールドカップ優勝の瞬間といえば、キャプテンがトロフィーを高く掲げるシーンが定番です。
しかし、この文化は最初からあったわけではありません。
きっかけは1958年スウェーデン大会。
ブラジル代表のキャプテンだったベリーニが、カメラマンにトロフィーをよく見せるために高く掲げたことが始まりと言われています。
その姿が非常に印象的だったため、以降の大会でも優勝キャプテンがトロフィーを掲げるようになりました。
現在では、ワールドカップで最も象徴的な瞬間の一つになっています。
ワールドカップトロフィーに刻まれている国名
現在のFIFAワールドカップトロフィーには、優勝国の名前が刻まれています。
1974年以降の優勝国は以下の通りです。
- 1974年:西ドイツ
- 1978年:アルゼンチン
- 1982年:イタリア
- 1986年:アルゼンチン
- 1990年:西ドイツ
- 1994年:ブラジル
- 1998年:フランス
- 2002年:ブラジル
- 2006年:イタリア
- 2010年:スペイン
- 2014年:ドイツ
- 2018年:フランス
- 2022年:アルゼンチン
現在のトロフィーは永久譲渡されないため、今後も優勝国名が追加されていくことになります。
ワールドカップトロフィーの雑学まとめ
ここまで紹介した内容を、最後に雑学として整理します。
雑学1:トロフィーは2種類ある
初代はジュール・リメ・トロフィー。
現在使われているのはFIFAワールドカップトロフィーです。
雑学2:現在のトロフィーは永久保持できない
優勝国は表彰式で本物を掲げますが、その後はFIFAへ返却されます。
優勝国が受け取るのはレプリカです。
雑学3:ブラジルだけが初代トロフィーを永久保持した
1970年に3度目の優勝を果たしたため、当時の規定でブラジルがジュール・リメ・トロフィーを永久保持しました。
雑学4:トロフィーは犬が発見したことがある
1966年に盗まれたトロフィーは、ピクルスという犬によって発見されました。
雑学5:ブラジルで盗まれたトロフィーは今も行方不明
1983年に盗難され、現在も見つかっていません。
雑学6:第二次世界大戦中は靴箱に隠されていた
ナチスから守るため、イタリアの関係者がベッド下の靴箱に隠したと言われています。
雑学7:トロフィーを掲げる文化は1958年から
ブラジル代表キャプテンのベリーニがカメラマンに見せるために掲げたことが始まりとされています。
まとめ
ワールドカップトロフィーは、単なる優勝カップではありません。
サッカー界の歴史、栄光、悲劇、ミステリーが詰まった特別な存在です。
初代ジュール・リメ・トロフィーは、1930年から1970年まで使用され、ブラジルに永久譲渡された後、1983年に盗難されて行方不明になりました。
現在使用されているFIFAワールドカップトロフィーは、1974年大会から登場し、今も世界中のサッカー選手が憧れる最高の象徴です。
優勝国であっても本物を永久保持することはできず、掲げることが許されるのは限られた瞬間だけ。
だからこそ、ワールドカップ決勝後にキャプテンがトロフィーを掲げるシーンは、世界中の人々の記憶に残るのです。
2026年ワールドカップでは、どの国のキャプテンがこの黄金のトロフィーを掲げるのでしょうか。
試合だけでなく、トロフィーにまつわる歴史や物語にも注目してみると、ワールドカップをより深く楽しめるはずです。








